マーケットレビュー(2018年1月)と直近の株式市場の大幅下落について

2018年2月6日

さて今月も月初め恒例の「社会・経済・金融レビュー」をお届けします…が、
その前に、直近の株式市場の大幅下落について触れておきたいと思います。

先週末2日、NYダウが665.75ドル安(-2.54%)、
そして週明けの5日は1175.21ドル安(-4.60%)と
2日連続の大幅下落(2日合計で-6.85%)となりました。

きっかけは「米雇用統計」で強い数字がでたことです。雇用者数の増加に加え、賃金の上昇も確認されました。実体経済にとっては、とてもポジティブなニュースと言えます。

本来、景気が良いことは、株式市場にとってもプラス材料ですが、今回は米国の利上げが加速するという連想から長期金利が上昇、債券に対して株式の相対的な割高感が意識され売りが出ました。

また長年の金融緩和下で豊富な投資マネーに支えられていた資産価格が、今回の長期金利上昇を機に、下落に転じるという不安心理も台頭しています。

いわゆる市場心理が「リスクオフ」に切り替わったということになりますが、「このような局面をどういった心構えで乗り切るか?」それが長期投資を成功させる鍵になります。
※是非、前回執筆したブログ「裏付けのある資産」も併せて読んで頂ければ幸いです。

とにかく長期投資家は、相場が大きく揺れ動く局面で、短期投資家のようにドタバタすることなく、投資の本質を見据え、そして忍耐力を発揮することが大切です。

マーケットの変動は上にも下にもあり、その変動リスクを受け入れることで、長期的なマーケットの果実(リターン)を得ることができることを、思い出して頂きたい局面です。

また、景気拡大局面に焦って利益を確定することが、長期的な金融市場の果実を逃してしまう大きな原因になることも改めて肝に銘じる必要があります。

個人的には、ここ最近の株式市場の上昇スピードが速かったため、いい調整になってくれるのではと期待しています。

今回の米国株式市場の大幅下落は、日本を始め他国の株式市場にも影響を与え、世界株式市場は全面安の展開になっているようにも見えますが、詳細は見ると実は、国ごと、企業ごとに異なる反応を示しており、これを機に、新たな投資機会が生まれてくることも予想されます。

また金利が上昇してきたことで、債券への投資妙味も出てくるでしょう。

 

■2018年1月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済・金融)

1日 米投資銀行ゴールドマンサックス、2018年世界GDPを+4.0%と強気予想。
3日 12月の米ISM製造業景況感が予想を上回り、米国株式市場が最高値更新。
4日 日経平均、大発会に741円高で26年ぶりに23,500円台を回復。
4日 NYダウが年初から3日続伸で初めて25,000ドル台に。
6日 米国依存だったアジア経済圏が転換期、域内における「中国化」加速。
6日 米銀行界ではデジタル化によって、人員や店舗の整理が急速に進んでいる。
6日 円の実効レート(他通貨比較の総合価値)が1年11ヵ月ぶりの低水準。
8日 早稲田大学が運用資産の1割にあたる1億ドルを海外未公開株式等に投資。
9日 日銀が公開市場操作で長期国債の買い入れを減らし、円高進捗。
10日 米国長期金利に上昇圧力。中国が米国債購入の削減・停止を検討。
10日 日本経済の需給ギャップ(昨年7-9月)、9年半ぶりの大きな需要超過。
10日 日本の工作機械メーカーの欧州からの受注が過去最高(欧州経済堅調)。
11日 1年後の物価予測(日銀12月調査)で、75%が上昇と回答。
12日 2017年の訪日客は過去最高の2800万人(前年比約2割増加)。
12日 米国の金融緩和縮小が意識され、世界の長期金利に上昇圧力。
12日 長期金利が上昇する中で、世界の高配当株式の株価がさえない。
12日 米家電見本市(CES)で、次世代通信5Gに注目が集まる。
12日 米主要500社の昨年10-12月期の純利益は前年同月比12%増加。
13日 ワンルームマンションなど投資用マンションの価格高騰が続く。
16日 みずほFGで初めて証券トップが社長に、脱銀行依存の覚悟。
16日 北米自動車ショーでトヨタ車がアマゾンのAIを搭載した車を発表。
17日 政府は年金受給開始年齢について、割増を前提に70歳超の選択肢を検討。
17日 米アップルは法人減税を受け、2万人の雇用と300億ドルの投資を決定。
17日 NYダウが26,000ドル台に到達。わずか8営業日で1,000ドル上昇。
23日 日銀金融決定会合、現行の大規模緩和維持。1年4ヵ月変更なし。
24日 円高進捗110円割れ、日銀決定会合の結果に反し出口意識される。
24日 米大統領はインフラに10年間で1.7兆ドル投資と発表(従来1兆ドル)。
25日 欧州中銀 金融政策を維持。ユーロ高を警戒し慎重に緩和縮小方針。
26日 米2017年10-12月GDP(速報値)は+2.6%(市場予測2.9%)。
25日 アップルはiPhoneXの1-3月の生産を半減する(高額で販売伸びず)。
26日 仮想通貨大手コインチェックで、仮想通貨NEMが約580億円盗まれる。
29日 欧州中銀が早期緩和縮小との思惑で欧米金利上昇(米国2.72%)。
30日 米FOMCで追加利上げ見送り。イエレン議長最後のFOMC。
30日 ヤマトHDは値上げで大口顧客4割と取引を解消(業績は改善)。
30日 米フェイスブックは仮想通貨に関する広告を禁止すると発表。
30日 ユーロ圏の昨年のGDP成長率は、+2.5%と金融危機後最も高い数字。
30日 米大統領の一般教書演説。インフラ投資1.5兆ドル、国民に結束を呼びかけ。
31日 日本の鉱工業生産指数(10-12月)が7四半期連続上昇(17年ぶり)。

 

■2018年1月の金融市場の動き

【1月末の長期金利】
日本10年国債  0.08% 前月比+0.04%
米国10年国債  2.70% 前月比+0.30%
ドイツ10年国債 0.69% 前月比+0.26%
英国10年国債  1.49% 前月比+0.31%

昨年全く動かなかった長期金利が動き始めました(上昇)。
これは経済・金融にとって短期的には最大のリスクである一方、
長期的には金融正常化の第一歩というポジティブな側面もあります。

【1月末の先進国株式】
日本(TOPIX)  1836.71  前月比+1.1%
米国(S&P500)  2823.81  前月比+5.6%
(ナスダック) 7411.48  前月比+7.4%
ドイツ(DAX)  13189.48 前月比+2.1%
英国(FTSE100) 7533.55  前月比-2.0%

米国株式市場の上昇速度が速い、日欧は月前半に米国株式の勢いと共に上昇しましたが、中盤から後半には高値警戒感から下落。所謂「いって↑こい↓」という展開。

【1月末の新興国株式】
中国(上海総合)   3480.83   前月比+5.3%
インド(SENSEX) 35965.02  前月比+5.6%
ブラジル(ボベスパ) 84912.70  前月比+11.1%
ロシア(RTS)    1282.36   前月比+11.1%

昨年に勢いをそのままに新興国株式市場は上昇。特に原油等の商品市況の上昇を受け、ブラジル、ロシアは大幅高。短期的な上昇速度が速く、スピード調整もあるでしょう。しかしながら新興国経済は、中国を筆頭に確実にグローバル経済の鍵になってきており、今後、運用機関のアセットアロケーションから外すことは考えられなくなってきました。

【1月末の商品市況】
WTI原油先物(1バレル)64.73ドル 前月比+7.1%
NY金先物(1オンス)  1339.0ドル 前月比+2.5%

世界経済の好調を背景に、エネルギー需要も高まっており、原油価格も上昇しました。しかし60ドルを超えると、米国のシェール勢の生産意欲が高まることもあり、このあたりが原油価格の当面の天井になるのではないでしょうか。

【1月末の月末の為替市場】(+は円安 -は円高)
米ドル/円  109.21円  前月比-3.1%
ユーロ/円  135.59円  前月比+0.3%
英ポンド/円 155.00円  前月比+1.9%
豪ドル/円  88.01円   前月比+0.1%

米国の長期金利の上昇による日米金利差拡大にも関わらず、円ドルレートは大幅な円高。ユーロ、英ポンドに対しては円安になっていることから、実体は円高ではなくドル安。

以上。