マーケットレビュー(2017年12月)

2018.01.11(THU)

2018年が始まって、あっという間に11日も過ぎてしまいましたが、年末年始と言えば、「今年はどうなるか?」「何が起きるのか?」、大体そんな予測や展望が巷に溢れる時期でもあります。

しかし当ブログでは「去年今年貫く棒の如きもの(高浜虚子作)」ということで、「連続性と継続性」の視点を持って、先月の経済・金融のレビューを致したく存じます。過去から現在に起きている事実をしっかり観察することこそが、長期投資で成果をあげるための最重要ポイントだと私は思います。勿論、それは弊社の仕事なのですが、少しでも多く、それを皆さんと共有していきたく存じます。

それでは昨年に引き続き、本年もよろしくお願いいたします!!

■2017年12月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済・金融)

1日  天皇陛下の退位が2019年4月30日に決定。翌5/1から新元号。
1日  事務派遣料金は1割~3割の値上げ見通し(18年4月の法改正に伴い)。
1日  10月求人倍率が1.55倍に(1974年1月以来の高水準)。
1日  人工透析30万人。医療費は1兆円超となり今後削減の見通し。
2日  政府与党は中小企業の事業承継を促す税優遇策を拡充する。
4日  BNPパリバ会長が欧州景気に強気の見通しを示す。
5日  グーグルがユーチュブでアマゾン製品が見られなくなる措置をとる。
6日  2018年度税制改正で年収800万円超の所得税が増税に(控除縮小)。
6日  国際金融の新規制バーゼル3の詳細が固まる(2021年度以降の導入へ)。
7日  米トランプ大統領がイスラエルの首都をエルサレムと認定。
7日  上海株式3か月半ぶり安値、共産党大会が終わりリスク抑制の流れに。
8日  日本企業2017年度の配当総額は前年比7%増の12.8兆円(過去最高)。
8日  日本7-9月期GDP(改定値)は、年率+2.5%(速報値+1.4%)。
8日  10月国際収支、経常黒字2.1兆円(前年同月比40.7%増)。
8日  日欧EPA(経済連携協定)交渉が妥結。2019年春の発効を目指す。
8日  11月米雇用数は+22.8万人(市場予測19.5万人)。
9日  日本企業の資本効率向上、主要企業全体でROE10%超の見通し。
9日  米電気自動車大手テスラの株価が大幅下落、モデル3の生産遅延。
12日  ビットコインの10-11月取引(全世界)の4割を日本人が占める。
13日 ユニクロはネットでセミオーダー衣料を世界展開。1兆円を目指す。
13日 米FRBが0.25%の利上げを実施(年1.25%~1.5%の誘導目標)。
13日 米国株式最高値更新。FOMCで今後の利上げペース見通し変更なし。
14日 世界のETF残高が11月末4.7兆ドル(前年比34%増)に達する。
14日 2018年度与党税制改正大綱が決定。個人中心に2800億円増税。
15日 全日空は今後毎年AI・ロボットに100億円投資をすると発表。
15日 12月日銀短観で景況感は5期連続改善、11年ぶりの高水準に。
17日 米国中小企業の景況感は34年ぶりの高水準。大企業も12-13年ぶりの水準。
18日 総務省管轄の情報通信研究機構が、AIで自動翻訳イヤホンを開発した。
18日 五輪・都市再開発で鋼材価格が年初から1-3割上昇。
19日 2018年の経済金融見通し、楽観的な予測が相次ぐ。
19日 政府2018年度見通し。実質GDP+1.8%(名目+2.5%)、CPI+1.1%。
20日 家計の金融資産が9月末時点で1845兆円と過去最高に。
20日 財務省の2018年度税収見通しは59兆800億円(27年ぶりの高水準)。
20日 GPIFが資産全体の5%をオルタナティブ投資に配分する方針を発表。
20日 米大型減税(法人税35%→21%)決定。30年ぶりの抜本改正。
21日 2017年最後の日銀金融決定会合、景気拡大でも緩和継続を決定。
21日 通貨ユーロの上昇基調が続く。欧州経済堅調と長期金利上昇が要因。
21日 国連総会、米のエルサレム首都認定の決定撤回決議を採択。
22日 2018年度予算案決定、歳出は97兆7128億円と過去最高。
22日 2017年の出生数は過去最小94万人、死亡者数は過去最高134万人。
23日 米半導体大手ブロードコム、本社をシンガポールから本国に戻す。
25日 2018年中国GDP予測の平均値+6.5%(前年比-0.3%)。量より質重視。
27日 日本の2017年新規公開(IPO)は90社。最近10年で2番目の多さ。
28日 2017年の日本企業にM&Aは過去最多の3000件超。
29日 国内オフィスビルの供給は2018年急増(新床面積は前年比3倍)。
29日 東京エレクトロン社長コメント…半導体需要の用途拡大はかつてない勢い。
30日 2017年末の世界株の時価総額は84兆ドルとなる(前年比21%増)

 

■2017年12月の金融市場の動き

【12月末の長期金利】

日本10年国債  0.05%   前月比+0.01%  年初来  +0.01%
米国10年国債  2.40%   前月比-0.01%   年初来 -0.04%
ドイツ10年国債 0.43%   前月比+0.05%  年初来 +0.24%
英国10年国債  1.18%     前月比-0.15%   年初来 -0.06%

2017年の債券市場(長期金利)に大きな動きはありませんでした。しかし2018年は特に米国の金利上昇リスクを注視しておく必要があります。2018年の最大のリスクはここにあると考えておくべきでしょう。

【12月末の先進国株式】

日本(TOPIX)  1817.56          前月比+1.4%    年初来+19.7%
米国(S&P500)  2673.61          前月比+1.0%    年初来+19.4%
(ナスダック) 6903.39          前月比+0.4%    年初来+28.2%
ドイツ(DAX)  12917.64           前月比-0.8%     年初来+12.5%
英国(FTSE100) 7687.77          前月比+4.9%       年初来+7.6%

年末に米国の大型減税が決まり、米国の景況感はより強くなってきました。中国は全人代以降、景気を引き締め気味の政策をとっていますが、世界の景気トレンドは一層力強くなっており、株式市場はそれを素直に反映した動きを見せています。

【12月末の新興国株式】

中国(上海総合)   3307.17    前月比-0.3%  年初来+6.6%
インド(SENSEX) 34056.83    前月比+2.7%       年初来+27.9%
ブラジル(ボベスパ) 76402.08  前月比+6.2%        年初来+26.9%
ロシア(RTS)    1154.43        前月比+2.0%       年初来+0.2%

米国を中心とした先進国の景気の強さが、新興国にも波及し始めました。また中国において新たなイノベーションが生まれてきています。テクノロジーの発展が先進国、新興国の境目をなくしつつあるように感じます。

【12月末の商品市況】

WTI原油先物(1バレル)60.42ドル   前月比+5.3%      年初来+12.5%
NY金先物(1オンス)  1306.3ドル   前月比+2.6%      年初来+13.6%

近年、特に米国でシェール革命が起き、それが原油価格を下押ししてきましたが、世界景気の拡大と共に、原油の需給も引き締まり、価格も上昇してきました。また米国の長期金利が上昇しないことから、金価格も堅調な動きとなっています。

【12月末の月末の為替市場】(+は円安 -は円高)

米ドル/円  112.70円    前月比+0.1%  年初来-3.6%
ユーロ/円  135.22円    前月比+0.9%  年初来+9.9%
英ポンド/円 152.14円    前月比-0.1%  年初来+5.6%
豪ドル/円  87.93円     前月比+3.2%   年初来+4.3%

年間を通じて、主要通貨に対して米ドルが安い一年だった。円は米ドルに対しては高いが、他通貨に対しては弱く、総合的な通貨価値を示す実効レートでみると円安であったと言えます。

以上。

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