マーケットレビュー(2017年11月)

2017.12.05(TUE)

当ブログ「長期投資の視点」では、毎月初めに、先月の社会・経済・金融で起きたことのレビューを行うことにしております。実はこれ、私が証券業界で仕事を始めた頃から、かれこれ25年くらい続けて習慣化してきたことでして、このようなフレームワークで考え続けることで、自分なりに社会や経済や金融といったものを俯瞰してみる眼を養っています。それを皆さんと共有できればと思っております。是非お試しください!

■2017年11月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済・金融)

1日 日銀は31日の金融決定会合で、大規模緩和の維持を決定。
1日 ユーロ圏の7-9月期GDPは年率+2.4%、雇用・消費堅調。
1日 米FOMCは現状維持、来月利上げ、新FRB理事長にパウエル氏。
1日 第4次安倍内閣発足。12年ぶりに全ての閣僚再任。
2日 英中央銀行は政策金利を10年ぶりに引き上げ(0.25%→0.5%)。
3日 米国の10月雇用数は26万1000人増加。予想+32万人は下回る。
3日 米国の非製造業景況感指数が60.1と高水準(2005年8月以来)。
5日 トランプ大統領が初来日。
7日 日経平均が1992年以来、25年10ヵ月ぶりに高値(22,666円)更新。
9日 日本の経常黒字が10年ぶりの高水準へ、訪日客で旅行黒字最高。
13日 みずほFGが人員・店舗数の削減を柱とする構造改革を発表。
15日 日本の7-9月期GDPは年率1.4%増、外需が牽引で7期連続プラス。
15日 日経平均が6日連続下落。海外ファンド決算で利益確定売り拡大。
16日 日本企業の18年3月期の純利益は17%増(25.6兆円)で過去最高。
16日 米下院は連邦法人税率を35%→20%の下げる法案を可決する。
19日 ドイツ3党連立協議が決裂。メルケル首相窮地に。
20日 日本の10月貿易黒字は前年同月比で+14%。中国向け輸出好調。
22日 政府は中小企業の事業継続を後押しする相続税優遇する方針を公表。
22日 政府は天皇陛下の退位を19年4月30日、新元号を翌5月1日と公表。
24日 英国で個人消費の減速が鮮明に。EU離脱、通貨安が重荷に。
24日 日本株式市場で中国関連株が軒並み下落。中国の金融引き締め懸念。
25日 コンビニ試練、客数伸びず。既存店は20カ月連続で客数減少。
26日 7-9月の世界の貿易量が前年比+5.1%と6年半ぶりの高い伸びを示す。
27日 中国が「影の銀行」と呼ばれる理財商品販売の規制強化に踏み切る。
27日 日本経済の7-9月の需給ギャップは+0.5%。3四半期連続プラス。
29日 世界の半導体市場、IOTで急拡大。2018年は16年比で3割増予測。
29日 北朝鮮が新型ICBMを発射。米国の首都ワシントンを射程圏内に。
29日 米ダウ平均は4日続伸も、ハイテク・ITは利益確定売りで総崩れ。

■2017年11月の金融市場の動き

【11月末の長期金利】

日本10年国債  0.04% 前月比-0.03%  年初来 -0.01%
米国10年国債  2.41% 前月比+0.03%   年初来 -0.03%
ドイツ10年国債 0.37% 前月比-0.01%  年初来 +0.18%
英国10年国債  1.33% 前月比 変わらず 年初来 +0.09%

世界的な好景気がインフレ率の上昇につながっていない現状を反映し、11月も世界主要国の長期金利は低位横ばいの動きが続く。12月に米国FRBが利上げを行うのが確実な情勢だが、新FRB議長のジェローム・パウエル氏もイエレン議長の緩やかな利上げ路線を継承すると見られ、金利の動きにも大きな影響を与えていない。

【11月末の先進国株式】

日本(TOPIX)  1792.08  前月比+1.5% 年初来+18.0%
米国(S&P500)  2647.58  前月比+2.8% 年初来+18.3%
(ナスダック) 6873.97  前月比+2.2% 年初来+27.7%
ドイツ(DAX)  13023.67  前月比-1.6% 年初来+13.4%
英国(FTSE100) 7326.67  前月比-2.2% 年初来+2.6%

11月の米国株式市場は堅調な経済および法人減税への期待からS&P500、ナスダック共に史上最高値を更新。日本も好調な企業業績(純利益で約17%増で過去最高の利益)を背景に25年ぶりの高値を奪回。欧州は全体的に堅調な経済指標を確認するも、ドイツにおいてメルケル首相の連立協議が不調に陥り、政治リスクの高まりから下落。

【11月末の新興国株式】

中国(上海総合)  3317.19   前月比-2.2% 年初来+6.9%
インド(SENSEX) 33149.35  前月比-0.2% 年初来+24.5%
ブラジル(ボベスパ)71970.99  前月比-3.1% 年初来+19.5%
ロシア(RTS)   1131.56   前月比+1.6% 年初来-1.8%

11月の新興国市場は先進国と比較して軟調な展開。5年に1度の全人代が終了した中国が、景気浮揚を中心とした経済政策から、一部において景気の過熱を抑える政策に転換する動きが見られ、その影響で株式市場は下落した。

【11月末の商品市況】

WTI原油先物(1バレル)57.40ドル 前月比+5.6% 年初来+6.9%
NY金先物(1オンス)  1273.20ドル 前月比+0.5% 年初来+10.7%

原油価格は大幅上昇。上昇の要因として、①イラクにおけるクルド自治政府の問題②サウジアラビアにおける内紛③OPECの減産継続による需給の引き締まりが挙げられる。金価格は中東、東アジアの地政学リスクの高まりもあり小幅上昇。

【11月末の為替市場】(+は円安 -は円高)米ドル安、ユーロ高が進展。

米ドル/円  112.54円  前月比-1.0% 年初来-3.7%
ユーロ/円  134.01円  前月比+1.2% 年初来+8.9%
英ポンド/円 152.35円  前月比+0.9% 年初来+5.7%
豪ドル/円  85.18円   前月比-2.1% 年初来+1.0%

11月の為替市場は、米国の金融政策において、今後の利上げがゆっくり慎重に行われることがFOMC議事録の内容等から意識され米ドルが小幅安となった。一方、利上げを行った英国、堅調な経済指標が確認された欧州通貨(ユーロ)が買われました。円に関しては、金融緩和継続の一方で貿易黒字および経常黒字が増加しており、なかなか方向感がつかみづらい状況。

以上。

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