マーケットレビュー(2017年10月)

2017.11.02(THU)

2017年10月(前月)の金融経済レビューをいたします。

直近1カ月分の「社会・経済のニュース」と「金融市場の動き」を関連付けて観ることは、「金融リテラシーの向上に役立つ」と同時に、「長期投資に付随する変動(ボラティリティ)の要因を理解すること」につながります。それがマーケットの上昇時も下落時もしっかり投資に向き合うことができる秘訣だと私は思います。それでは下記情報をご確認頂き、自分としてどう捉えて、どう考えるか?

「是非お試しください!」

■2017年10月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済)

2日、日銀短観10年ぶりの高水準、大企業製造業+22(6月調査から+5)。
2日、つみたてNISA(2018年から開始)の口座開設手続きがスタート。
3日、米ベインキャピタルが広告第3位アサツーディ・ケーへのTOBを実施。
5日、インド中銀、2017年度経済成長率の見通しを下方修正(年7.3%→6.7%)。
5日、家計の外貨預金が2017年6月末時点で6兆円を超えて、3年ぶりの高水準。
6日、2017年世界経済予測で10年ぶりに主要45カ国がそろってプラス成長に。
10日、内閣府9月景気ウォッチャー(街角景気)で国内景気の勢いを確認。
11日、香港政府は中小法人の税率を8.25%に半減(課税所得約2800万円以下)。
11日、FRBは9月FOMC議事録を公表。年内の追加利上げを見込む(12月予想)。
13日、商工中金が不正融資で500人規模(営業職の1/3)の処分検討。
14日、米ハリケーンの影響で三大損保に2000億円超の支払いが発生。
16日、国税庁、ビットコインの運用で得た所得を「雑所得」として取り扱う。
18日、世界株式市場でESG投資の残高が約23兆ドルに(全体の1/3)。
18日、NYダウが23,000ドルを突破。S&P500、ナスダックも史上最高値更新。
19日、中国の7-9月GDPは+6.8%。市場予測の+6.7%を若干上回る。
19日、日産は不祥事(無資格者の検査)で、国内向けの出荷停止。
22日、日本企業や個人が持つ海外資産が初めて1000兆円突破、過去5年で5割増。
22日、第48回衆議院選挙で与党が圧勝。安倍政権再始動。
23日、衆議院選挙で与党勝利、日経平均15日続伸(その間の上昇率は+6.6%)。
25日、中国では習近平総書記の2期目(2022年まで)がスタート。
26日、ソニーの今上半期(4-9月)決算は前年比3倍の約3000億円に。
26日、3月決算上場企業1587社の上半期は営業利益8.2%増。
26日、欧州中銀(ECB)は来年1月から量的緩和縮小を開始することを決定。
27日、米ITビッグ5(アップル、グーグル、マイクロソフト、アマゾン、フェイスブック)好決算で株価大幅高。
28日、米国の7-9月GDP(速報値)は+3.0%成長、消費・投資が堅調。
30日、三菱UFJ信託銀行は、来年4月から新規住宅ローンの新規融資から撤退。
31日、日銀は短期金利をー0.1%、長期金利をゼロ程度に誘導する現状維持を決定。

■2017年10月の金融市場の動き

【10月末の長期金利】

金利に関しては、表面上の動きは乏しいものの、世界景気拡大と今ひとつ物価が上がってこないという、過去の経験則から言えば相反する事象の狭間で金利上昇のエネルギーを溜めているように見えます。しかし金利が上昇したら国債を買いたいという機関投資家の潜在的ニーズ、そしてテクノロジーの発展によるデフレバイアス等が金利の見えない壁になっているようです。

日本10年国債  0.07% 前月比+0.01%  年初来 +0.03%
米国10年国債  2.38% 前月比+0.05%   年初来 -0.06%
ドイツ10年国債 0.37% 前月比-0.10%  年初来 +0.18%
英国10年国債  1.33% 前月比-0.02%   年初来 +0.09%

【10月末の先進国株式】

9月と打って変わって、10月の世界株式市場は堅調なマクロ経済、ミクロ経済(企業業績)を背景に、強気に転じました。株価上昇は実体経済の強さや企業業績の伸びを背景にしていますので、多少の割高感はあるものの、バブルのような過熱感や高揚感はありません。また足元、北朝鮮情勢が静かになっていることも含め、アジアの地政学リスクへの警戒感が薄れたのも相場上昇を後押ししました。

日本(TOPIX)  1765.96  前月比+5.4% 年初来+16.3%
米国(S&P500)  2575.26   前月比+2.2% 年初来+15.0%
(ナスダック) 6727.67  前月比+3.6% 年初来+25.0%
ドイツ(DAX)  13229.57  前月比+3.1% 年初来+15.2%
英国(FTSE100) 7493.08  前月比+1.6% 年初来+4.9%

【10月末の新興国株式】

10月はインド株式市場が大幅高となりました。今年度GDP成長率を下方修正したにも関わらず、逆に今後の景気対策への期待が高まったのです。このようにマーケットとは、市場参加者が「事実をどう解釈するか」で方向性が決まってきます(特に短期的には)。逆にどんなにいいニュースでも、それを悪く解釈してしまうと市場は下落してしまいます。しかしそんな時こそチャンスであることを常に忘れてはなりません。

中国(上海総合)  3393.34  前月比+1.3% 年初来+9.3%
インド(SENSEX) 33213.13 前月比+6.2% 年初来+24.7%
ブラジル(ボベスパ) 74308.49 前月比0% 年初来+23.4%
ロシア(RTS)   1113.41  前月比―2.1% 年初来-3.4%

【10月末の商品市況】

米国のハリケーン被害の復興需要、OPECのさらなる減産、イラクにおけるクルド問題等の中東の地政学リスクの高まりから、原油価格は大幅高。昨年末と比べ、ずっと低位に推移していた原油価格が、ここにきて昨年末の水準を超えてきました。円ドルレートはまだ昨年より若干円高ですが、年末に向けて日本のガソリン価格も少し高くなりそうです。

WTI原油先物(1バレル)54.38ドル 前月比+5.2% 年初来+1.2%
NY金先物(1オンス) 1267.0ドル 前月比-1.1% 年初来+10.2%

【10月末の為替市場】(+は円安 -は円高)米ドル安、ユーロ高が進展。

為替市場では、10月久しぶりに米ドル高(対ユーロ、対円等)になりました。今後はおそらく米国が12月に利上げをすると予測されますし、欧州も金融緩和縮小が来年1月から実際に始まります。一方日本では衆議院選挙で与党が圧勝し、安倍政権、日銀も黒田総裁の体制が継続する関係で、それに伴い金融緩和の継続が予想されます。年末にかけてもう少し円安が進む可能性が高まっている気がします。但し北朝鮮情勢の悪化等が表面化した場合には105円くらいの円高の可能性も当然あり、結論、短期的な為替の動きはわからん(笑)ということです。

米ドル/円  113.63円  前月比+1.0% 年初来-2.8%
ユーロ/円  132.38円  前月比―0.5% 年初来+7.6%
英ポンド/円 150.99円  前月比+0.2% 年初来+4.8%
豪ドル/円  87.02円   前月比-1.4% 年初来+3.2%

以上。

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