「吉田カバン」と「フェラーリ」

2017年10月12日

先日、日経新聞のコラムで、吉田カバンの吉田社長が「商品を値下げしない誇りを」というお話をされていました。(街を歩いていると、吉田カバンのPORTERシリーズの鞄を愛用しているビジネスマンも結構多いように感じます。)

【以下、吉田社長のお話の抜粋・要約】

「私たちは原則として値下げをしないという信念があり、お客様やものづくりの現場を大切にしたいと思っている。」

「なぜ値下げをしないのか?それは定価で買ってくださったお客様に大変申し訳ないからだ。自分が定価で購入したものが値下げされているのを見れば、悔しい思いに駆られるだろう。」

「値下げをすることは、長年我々が大切に育ててきたブランドイメージを崩すことになる。さらに大事なのは、縫製職人さん、部材屋さん等、商品に関わってくれた全ての心ある人々の結晶が商品であるということだ。このような大切なものを簡単に値下げで処分することはできない。」

また他日の日経新聞では、超高級車で有名な「フェラーリ」の記事が掲載されていました。

世界的にAI(人工知能)による自動運転やEV(電気自動車)の普及が本格化してきそうな状況下、既存の自動車会社の株価は低迷し、逆に新興勢力(グーグルなどのIT企業や電気自動車のテスラ)の株価は大きく上昇していますが、その中で異彩を放っているのがフェラーリ。同社は2015年10月に米国株式市場に上場していますが、2017年の株価上昇率は+97%(8月末時点)にものぼります。(ちなみにEV大手テスラは+67%、フォードモーターは-10%)

フェラーリの車づくりは職人的で、自動車業界で最もITなどの技術革新から遠い存在と言われています。そして年間1万台未満しか生産・販売しないことで、強固なブランド力を保ち、株式市場もそれを高く評価しています。

様々な工夫や努力で製品やサービスの価格を下げ、幅広い消費者の生活を楽にすることは大変意義がある一方、長期的に、値下げ競争は商品やサービスの質を劣化させ、企業を弱体化させ、結果として消費者の生活を脅威にさらすことになりかねません。

「いい製品をつくり、いいサービスを提供して、お客様に満足して頂き、適正な価格を快く支払って頂ける。」それが企業の理想の姿だと私は思います。吉田カバンとフェラーリは、業種は違えど、その理想の姿を体現しているように思います。

話は変わりますが、資産運用業界はどうでしょうか?

来年から制度が始まる「積立NISA(年間40万円まで20年間非課税)」では、金融庁主導で商品(投資信託)のラインナップに厳しい制限が入りました。

積立NISAのコスト面の条件は販売手数料がゼロ、保有時にかかる信託報酬は国内資産で運用するインデックス投信の場合、0.5%以下、アクティブ投信で1%以下です。実際、大多数の運用各社は金融庁のご威光に逆らうことなく、信託報酬(運用報酬)を急激に下げ、国内インデックスファンドでは平均で0.27%くらいになっているようです。

過去の日本の、投資信託の短期売買等で投資家から過剰かつ不当な手数料を搾取したいたと言われても仕方がない歴史を考えると、投資家を守る金融庁の姿勢もわからなくはありませんが、それが本当に正しい姿かと言えば疑問です。

実際、数少ない気骨ある運用会社は、この手数料値下げ競争に意義を唱え警鐘を鳴らしています。私としては、これらの運用会社こそが、運用業界の吉田カバンであり、フェラーリなのだと感じますし、信頼できる運用会社だと思います。

またコスト競争の背景には、日本は米国に比べて資産運用コストが高いという議論があります。しかしそれは一面において正しいのですが、ある面では正しくありません。

なぜなら米国の投資家の多くは、運用商品に係る手数料等に他に、ファイナンシャルアドバイザーに預かり資産の1~2%程度を別途毎年支払っているからです(ネットで自分でやる場合は別)。

よって日米の金融商品単体のコストだけを比べるのはナンセンスです。一方で、残念ですが日本においては、アドバイスに係る報酬(アドバイザリーフィー)も含む資産運用コストが、金融商品の中に内包されていて解りづらいのも事実です。

弊社は、以前から金融商品仲介業の仕組みの説明を通じて、皆様に支払って頂いている資産運用のコストとその対価としてのサービスを丁寧にお話しさせていただいております。

今後も弊社は、「安かろう・悪かろうの罠」に陥ることなく、吉田カバンやフェラーリのような価値観を持って、パーソナル資産運用サービスを進化させていきたいと思います。それによって、皆様の資産運用コストが納得できるものになるよう努力を継続してまいります。

…ということで、今後ともよろしくお願いいたします(笑)。