マーケット・レビュー(2017年5月)

2017.06.06(TUE)

今後、当ブログでは、先月のマーケット・レビューを行います。

定期的に、「世の中の動き」を確認して頂ければ幸いです。
さて早速、下記に先月の主な金融市場の値動きを掲載しました。
「金利、株式、商品、為替」は互いに影響しあって動いています。
ここから、皆さんは何を読み解き、どう感じるでしょうか?
5分で結構なので、是非、下記の数字を見ながら考えてみてください!

■2017年5月の金融市場

【5月末の長期金利】 全体的に長期金利低下。

日本10年国債  0.04% 前月比+0.025% 年初来 変わらず
米国10年国債  2.20% 前月比-0.08%  年初来 -0.24%
ドイツ10年国債 0.30% 前月比-0.023% 年初来 +0.107%
英国10年国債  1.03% 前月比-0.04%  年初来 -0.21%

【5月末の先進国株式】 全体堅調。特に米国ナスダック、ドイツが好調。

日本(TOPIX)  1568.37  前月比+2.4% 年初来+3.3%
米国(S&P500)  2411.80   前月比+1.2% 年初来+7.7%
(ナスダック) 6198.52   前月比+2.5% 年初来+15.1%
ドイツ(DAX)  12615.06   前月比+1.4% 年初来+9.9%
英国(FTSE100) 7519.95    前月比+4.4% 年初来+5.3%

【5月末の新興国株式】 好不調の格差あり。インド好調、ロシア不調。

中国(上海総合)  3117.18  前月比-1.2% 年初来+0.4%
インド(SENSEX) 31145.80 前月比+4.1% 年初来+17.0%
ブラジル(ボベスパ)62711.47 前月比-4.1% 年初来+4.1%
ロシア(RTS)   1050.30  前月比-5.5% 年初来-8.6%

【5月末の商品市況】 原油価格下落、金価格堅調。

WTI原油先物(1バレル)48.32ドル 前月比-1.8% 年初来-10.1%
NY金先物(1オンス)  1272.0ドル 前月比+0.2% 年初来+10.6%

【5月末の為替市場】(+は円安 -は円高)対円で米ドル弱く、ユーロ堅調。

米ドル/円  110.75円  前月比-0.6% 年初来-5.3%
ユーロ/円  124.52円  前月比+2.6% 年初来+1.2%
英ポンド/円 142.82円  前月比-1.0% 年初来-0.9%
豪ドル/円  82.31円   前月比-1.4% 年初来-2.4%

また金融市場は「経済・政治・社会」等の様々な出来事を反映します。

金融市場の動きと、その背景にあるニュースを関連づけることで、長期投資に付随する「ボラティリティ(変動)=価格変動リスク」の要因を知ることができます。このリスクは「リターンの源泉として必要不可欠なリスク」。このリスクからは目を背けるのでなく、その要因を知り、しっかり付き合っていくことが大切です。

■2017年5月の注目ニュース(社会・経済)

3日、ユーロ圏1-3月GDPは年率+1.8%成長。緩やかな回復を維持。
3日、米FRBは金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送る。
5日、米国の4月雇用統計。雇用者数は前月比21.1万人増加(予想18.5万人)。
7日、2016年度、日本の投資信託は14年ぶりに資金流出。毎月分配売れなくなる。
7日、フランス大統領選、中道のマクロン氏が勝利。極右ルペン氏に大差。
8日、フランス大統領選を受け、日経平均が年初来高値を更新。
11日、米トランプ大統領が、FBIのコミー長官を突然解任(ロシアゲート問題)。
12日、2016年度日本の経常黒字が20兆1990億円まで回復(9年ぶり20兆円台)。
13日、日本の上場企業の2018年3月期最終利益は2年連続で過去最高更新の見通し。
14日、新興国株式への投資マインドが回復傾向。中国の財政支出→資源価格上昇。
15日、ドイツ地方選挙、メルケル与党が最大州を制す。欧州政治リスク後退。
18日、日本1-3月GDPは年率+2.2%成長。11年ぶりに5期連続プラス成長。
18日、NYダウ372ドル安、ロシアゲートで政策停滞懸念。
18日、ブラジル株式および為替急落。テメル大統領の汚職疑惑が発覚。
20日、イラン大統領選、核合意順守のロウハニ師が再選。
27日、2017年日本企業の設備投資計画は前年比13.8%増、人手不足への対応急務。
30日、米国の物価は前年同月比1.7%に鈍化、FRBの目標2%に届かず。
30日、アマゾン株1000ドルを突破。1997年上場から20年で株価は約500倍。

5月は世界的に好調な経済指標と企業業績の発表が相次ぎ、経済の堅調さが目立つ一方で、政治面では、好材料と悪材料が目まぐるしく入れ替わる状況でした。

好材料としては、仏大統領選、ドイツ地方選での欧州政治リスク後退、イラン大統領選にて核合意順守の穏健派再選、悪材料として米国の政治リスク(ロシアゲート問題)の増大、ブラジル大統領の汚職等がありました。それを受け世界の株式市場も乱高下しましたが、月間を通してみると、月初高→中旬下落→月末にかけ戻す、という流れとなりました。

そんな状況下、米国アマゾンの株価が1000ドルを超え大きな話題となりました。目先の政治経済の動きと関係なく、社会経済の構造変化と技術革新の波に乗り、そして何よりもアマゾン自身の起業家精神が相まって、株価が20年で500倍に成長した事実こそが、長期投資の本質を捉えているように思えます。

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