イノベーション

2017年9月22日

半年前に日本証券アナリスト協会が開催した国際セミナー「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」のパネルディスカッションの中で、農林中金バリューインベストメントCIOの奥野一成氏が「イノベーション」について面白いことをおっしゃっていたので、下記にご紹介いたします。

『日本ではイノベーションは技術革新と訳してしまうが、米国では小さな改善でもイノベーションと呼んでいる。例えば、米国のクロロックス社は、液体状の漂白剤を噴霧状にしたことをイノベーションと称していた。これも社会や顧客の問題を解決した一つの事例といえよう。究極の素材を開発することではなく、顧客の問題解決をすることこそイノベーションであり、顧客とのバリューポイントを大事にしているかという点が重要なことだ。』

私も奥野氏の考え方に賛同します。

そして、ここが日本企業の弱いところだなあーともつくづく思います。
(東芝やシャープのような技術力を持っていてもこの有様です。)

また米国(米国人)がいいのは、やはりこのイノベーションに関する感覚。ちょっとした改善をイノベーションと堂々と言えるところ…ですかね(笑)。

そこで改めて「弊社(バリューマネジメント)にとってイノベーションって何?」と考えてみました。

私的には弊社は資産運用の焦点を、完全に「個人バランスシートの価値向上および保全」に絞りこみ、それを「長期的かつ丁寧にサポートすることにコミットしている」点だと思います。それは結果として、お客様の「信頼すべき資産運用の相談相手(パートナー)」になるということでもあります。

「信頼すべき資産運用の相談相手(パートナー)」

世界有数の金融資産大国日本において、これほど不足しているものはあるでしょうか?「需要と供給のミスマッチが甚だしいにもほどがある」と言っても言い過ぎではないかと思います。

今まで日本には本当に資産運用を信頼して相談できる先がなかった。(専門性の欠如であったり、利益相反であったり、過剰な手数料商売であったり、理由は諸々)

今後も人生100年時代などと言われる一方、年金だけでは引退後の生活は成り立たない、よって長期的な視点で資産運用管理をしなければならないのに、日常の仕事は忙しく、専門的な資産運用の勉強を膨大な時間をかけてやることが効率的か疑問であるし、と言って簡単に自分の大切な資産を既存の証券会社や銀行に相談をしていいものだろうか?

そんな問題の解決を図るのが、弊社のイノベーション。
個々人の資産価値向上のみを目的とした資産運用会社=パーソナル・アセットマネジメント・カンパニー。それが弊社のコンセプトです。

通常、今までの資産運用会社(例えば、野村アセットマネジメントや大和投信等)は、不特定多数の人のお金を集めて、何か儲かるものに投資をするというスタイルでここまできました。一般的に運用会社は個々のお客様の個別特性を考慮することはありません。預かったお金をルールに基づき増やすことだけが使命と言えますし、実はそれでOKです。

本来、お客様の個別特性を考慮すべき、金融機関は証券会社や銀行だと思いますが、完全にお客様サイドに立つことはビジネスモデル上、相当困難であることは、おそらく現場の方が一番分かっているような気がします。

バリューマネジメントはビジネスモデル上、お客様の長期的な資産価値向上にコミットメントすることだけに集中できるかたちになっているので、そこもイノベーションを起こすのに有利な点だと思っています。

まあとにかく、小さな改善でもイノベーションです。

あまり大きなことばかり考えず、毎日コツコツと会社や家庭で何かしらイノベーションを起こしていきたいものです(笑)。

風が吹けば…

2017年9月12日

先日、日経新聞に来年「パナソニック」が100周年を迎えるという、大きな広告が掲載されていましたが、やはりパナソニックと言えば、経営の神様である創業者松下幸之助を抜きに語ることはできません。

創業者松下幸之助の意志が、100年継続するパナソニックの根っこにあり、また社会に必要とされ貢献しなければ、100年も続けることは絶対にできないことを考えると、心から「おめでとうございます。」と申し上げたい気持ちになります。

私も会社経営者の端くれとして、時々思い出したように(大体は仕事で思い悩んだ時ですが)、松下幸之助氏が昭和43年から連載していた短文をまとめた「道をひらく」という文庫本を読んでいます。今でも大きな本屋さんに行くと、結構売れているようです。ベストセラーなので読んだことがある方も多いのではないでしょうか。

さて今回パナソニック100周年の新聞広告を見て、私も改めて読んでみましたが(3年ぶりくらいかなー)、やはり名著は何度読んでも、常に新しい気づきがあるものです。本の内容は変わらなくても、自分自身の状況や変化や成長によって読むポイントも微妙に変わってくるからなのでしょう。

最近は「市場変動と投資家の行動心理との相関」に興味が深いせいか、印象に残ったのは…「風が吹けば」というタイトルの文章でした。

 

「風が吹けば」

風が吹けば波が立つ。波が立てば船も揺れる。

揺れるよりも揺れないほうがよいけれど、

風が強く波が大きければ、何万トンの船でも、

ちょっと揺れないわけにはゆくまい。

これを強いて止めようとすれば、かえってムリが生じる。

ムリを通せば船がこわれる。

揺れなければならぬときには揺れてよかろう。

これも一つの考え方。

大切なことは、うろたえないことである。あわてないことである。

うろたえては進路を誤る。そして沈めなくてもよい船でも、

沈めてしまう結果になりかねない。

(以上本文から一部抜粋)

 

皆さんは読んでみてどう感じましたか?

私はこの文章は、長期投資に付随する短期変動への心構えとして、あるべき姿を見事に表現していると思います。いや投資だけでなく、仕事や生活や人生全般に通じる普遍的な心構えです。

「変動を無理に回避すること」を最新の金融工学で商品化したのが「サブプライムローン債券」や「仕組債」と呼ばれるものであり、その崩壊の結果が2008年のリーマンショックであったと私は捉えています。

私自身も改めて「風が吹けば」を読み、お客様の長期投資と共にある「バリューマネジメントという船」を沈めないために、文中にもあるよう「うろたえないよう、あわてないよう」頑張っていきたいと、心を新たにした次第です。

それでは皆さん、引き続きよろしくお願いいたします!

 

マーケットレビュー(2017年8月)

2017年9月5日

2017年8月(前月)の金融経済レビューをいたします。

直近1カ月分の「社会・経済のニュース」と「金融市場の動き」を関連付けて観ることは、「金融リテラシーの向上に役立つ」と同時に、「長期投資に付随する変動(ボラティリティ)の要因を理解すること」につながります。それがマーケット下落時もしっかり投資に向き合うことができる秘訣だと私は思います。

今月のポイントは、「堅調さを保つ世界経済および企業業績」(好材料)VS「米国の内政・災害リスク、スペインのテロ、北朝鮮問等の地政学リスク)」(悪材料)。この2つの綱引きで、金融市場は動くに動けない状況。それをどう見るかといったところでしょうか?

特に先進国の長期金利が、この1カ月でかなり低下したところに、市場参加者の先行きに対する警戒感の強さを感じます。

それでは下記情報をご確認頂き、自分としてどう捉えて、どう考えるか?

「是非お試しください!」

 

■2017年8月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済)

1日、ユーロ圏2017年4-6月GDPは、年率2.3%成長。内需主導で堅調。

1日、米国物価は4カ月連続鈍化。6月は前年比+1.4%、FRB目標+2%を下回る。

1日、米アップル4-6月期決算は12%増益。iPhoneの大画面モデル堅調。

2日、NYダウが初の22,000ドルの大台へ。アップルの好決算を好感。

4日、米国自動車販売7ヵ月連続減少。これは構造的な問題?(ライドシェア台頭)

4日、7月米雇用統計で雇用者数は+20.9万人。市場予測18万人を上回る。

8日、日本の2017年上期経常収支は10.5兆円の黒字。リーマン危機後最大。

9日、北朝鮮が核弾頭の小型化に成功したという報道が原因で「円高、株安」に。

10日、日本の公募投信の7月末残高が102兆円に。2年ぶりに最高値更新。

10日、北朝鮮問題の緊迫化で「VIX指数(恐怖指数)」の売買高が過去最高に。

11日、中国が通貨・人民元の切り下げを行ってから、ちょうど2年が経過。

12日、日本企業2018年3月期決算、純利益+13.6%増予想(3%程度上方修正)。

14日、仏マクロン大統領が就任3ヵ月。歳出削減等の政策が不人気で支持率急落。

14日、日本2017年4-6月GDPは+4.0%(予想+2.4%)。消費と投資が堅調。

15日、トランプ大統領の白人至上主義を巡る発言「双方に非がある」が大問題に。

16日、中国ネット大手アリババが、日本でスマホの電子決済サービスを始める。

18日、スペインのバルセロナでイスラム過激派によるテロが起きる。

18日、米トランプ大統領はバノン主席戦略官を解任。政権の混乱収束みえず。

22日、世界最大のHF(ブリッジウォーター)が、政治リスクから米国株弱気に。

22日、インドネシア利下げ実施。他の新興国も金融緩和の動き(先進国と反対)。

23日、米小売り大手ウォルマートとグーグルがネット通販で提携(VSアマゾン)。

25日、日本物価じわり上昇。7月の物価は前年同月比+0.5%(7ヵ月連続上昇)。

25日、米国ハリケーン「ハービー」直撃。トランプ政権の危機対応能力試される。

29日、北朝鮮が弾道ミサイル発射、日本上空を通過。日米韓、緊急安保理を要請。

 

 

■2017年8月の金融市場の動き

【8月末の長期金利】

米欧が量的緩和縮小に向かう段階に及んでも、長期金利は上昇するどころか下落している。米国で車が売れなくなっている背景にシェアリングエコノミーの進展等の構造問題があると言われるが、長期金利が上昇しないのも構造問題なのだろうか?それは今のところ判断するのは正直難しいところだと感じる。

日本10年国債  0.01% 前月比-0.07%  年初来 -0.03%

米国10年国債  2.11% 前月比-0.19%   年初来 -0.33%

ドイツ10年国債 0.36% 前月比-0.18%  年初来 +0.17%

英国10年国債  1.03% 前月比-0.2%   年初来 -0.21%

 

【8月末の先進国株式】

株式市場は、好調なマクロ経済、企業業績を背景に堅調だが、全体として膠着状態に突入。世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター」の創業者レイ・ダリオが、「政治リスクがかつてないほど高まっている」と継承を鳴らしたり、北朝鮮の行動がエスカレートしていたり、スペインでテロが起きたり等の地政学リスクの高まりから、株式市況の変動率も高まっている。

日本(TOPIX)  1617.41  前月比-0.1% 年初来+6.5%

米国(S&P500)  2471.65   前月比+0.1% 年初来+10.4%

(ナスダック) 6428.66  前月比+1.3% 年初来+19.4%

ドイツ(DAX)  12055.84  前月比-0.5% 年初来+5.0%

英国(FTSE100) 7430.62  前月比+0.8% 年初来+4.0%

 

【8月末の新興国株式】

新興国市場の最大の懸案事項は、米国の量的緩和縮小による米ドル高で、自国通貨が大幅下落してインフレ率が高まり、またドル建ての借金の負担が重くなることで、社会・政治・経済が不安に陥ることだと思う。しかし足元では逆に米ドルが安くなり、自国通貨も安定していることから、景気回復に軸足を置いた政策(金融緩和策等)が可能になっている。その結果、株式市場も堅調に推移している。

中国(上海総合)  3360.81  前月比+2.7% 年初来+8.3%

インド(SENSEX) 31730.49 前月比-2.4% 年初来+19.2%

ブラジル(ボベスパ)70835.05 前月比+7.5% 年初来+17.6%

ロシア(RTS)   1007.14  前月比+8.8% 年初来-4.9%

 

【8月末の商品市況】

米国トランプリスクの高まりにおける米ドル安、そして北朝鮮等の地政学リスクの受け皿に、「金というアセットクラス」は健在のようである。ビットコイン等も受け皿的になっている感もあるが値動きが荒すぎるので、やはり「有事の金」ということであろう。原油価格は先月大幅反発の反動で下落。

WTI原油先物(1バレル)47.23ドル 前月比-5.9% 年初来-12.1%

NY金先物(1オンス) 1316.2ドル 前月比+3.9% 年初来+14.5%

 

【8月末の為替市場】(+は円安 -は円高)米ドル安、ユーロ高が進展。

為替市場では、米ドル安が進捗。トランプ政権下の米国通貨「ドル」への信認がすぐに揺らぐことはないと思うが、黄色信号が点滅しているような印象を受ける。円が日本の国内要因で積極的に買われることはなさそうだが、外部要因、例えば更なる米ドル安によって、もしくは今年高くなっているユーロが安くなること等に起因とする円高リスクはあるとみる。

米ドル/円  109.97円  前月比-0.2% 年初来-5.9%

ユーロ/円  130.96円  前月比+0.3% 年初来+6.4%

英ポンド/円 142.20円  前月比-2.5% 年初来-1.3%

豪ドル/円  87.39円   前月比-1.0% 年初来+3.6%

 

以上。

長期志向の会社に長期投資を

2017年8月22日

長期投資においては、長期的に成長する会社に投資をすることが大切です。

しかし残念ながら、どんな会社も一本調子で成長するなんてことはなく、必ず危機や困難に直面します。

それらを乗り越え、次の成長ステージに移行するには、優れた経営陣、社員、技術、アイディア、製品、サービス、強固な財務基盤、危機を乗り越える企業文化等々、様々なファクターが必要でしょうが、やはり何よりも経営者が長期志向(長期のヴィジョン)を持っていることが最重要だと私は思います。

その長期志向を持つ経営者ですが、やはりサラリーマン経営者よりも創業者(もしくは創業者一族)に多いように感じます。アップル創業者のスティーブ・ジョブスやアマゾンのジェフ・ベゾスがその典型ですが、彼らの興味は、四半期、半期、1年の短期業績などより、ビジネスを通じ、長期的に世の中を変革することにあります。

さてバリューマネジメントは基本的に、長期的に成長する企業の発掘および投資、いわゆる銘柄選択の作業を優れた運用会社に委託していますが、弊社が最も信頼する運用会社キャピタルの評価も高い日本の会社に「村田製作所」があります。

村田製作所は、1944年創業(京都市)の世界的な電子部品会社です。

(2017年3月期の連結売上高1兆1355億円、営業利益2012億円)

電子部品業界は一般的には馴染みが薄い業界ですが、電子部品の製造は、お椀や茶碗等の焼き物をつくることに通じるものがあり、とても職人的だと言われています。世界的に見て、日本の強みが最も活かされている業界だと感じます。

日本の大手電子部品会社6社(京セラ、ローム、村田製作所、日本電産、TDK、アルプス電気)のうち、4社が京都企業というのも決して偶然ではなく、「京焼」などの伝統文化の延長線上に電子部品会社の出現、発展があるのです。

今後、世界経済の潮流としてIOT(モノのインターネット化)が急速に進展する中、スマートフォンの高度化、自動車の自動運転等々、様々な社会的変化が予想されます。

その中で必要不可欠になってくる電子部品、センサーを供給する会社の中でも、同社は優れた技術力を背景に、高い競争力を有しています(特に同社の積層セラミックコンデンサーはスマホやテレビ等の蓄電に欠かせないコンデンサーの小型化、高性能化に成功している)。

そんな同社の村田恒夫社長が、2017年7月10日付日経新聞のインタビュー記事で以下のように語っています。

「一般論でいえば、部品ビジネスは市況性が高いので、いい時も悪い時もあるが、業績が悪化したからといって、投資をやめるようでは競争力はつかない。苦しい時でも、長期的な見通しにたって、新製品の開発投資や工場投資を継続することが大切だと思う。」

この村田社長の長期投資志向が、営業利益率20%の世界的な高収益企業を創りだしているのだと私は思います。

いかがでしょう。私たちの資産運用(長期投資)にも通じる考え方ではないでしょうか?

8月に入り、北朝鮮問題、米国トランプ政権の混迷、スペインのテロ等の政治リスク、地政学リスクの高まりによって、金融市場という市況は悪化傾向にあります。

しかしこのような時期を何度も乗り越え投資を継続することが大切です。そしてそのたびに、私たちの長期投資志向(マインド)は醸成され、それと同時に投資ポートフォリオの長期的な収益力も向上していくのだと思います。

 

基本を大切に「逞しい資産」を創る

2017年8月9日

あくまで私見ですが、仕事、勉強、スポーツ等々、何でもそうですが、一般的にやればやるほど情報量も増え、スキルも向上していく一方で、最初に学んだ基本的なことを見失ったり、疎かにしてしまったりするケースも増える気がします。

資産運用についても同様のことが言えます。詳しくなればなるほど、詳しく見れば見るほど、些細なことが気になり、資産運用の成功から遠ざかっていく(資産運用で失敗する)。そんなことが頻繁に起きたりするから厄介です。そういった意味でも、間違ったかたちで資産運用を学ぶことは大変危険です。むしろ学ばなかった方がマシだったりします。

このような事象が起きてしまうのは、人間心理として致し方ないことではあるのですが、なるべくそうならないために、常に「資産運用の基本に立ち戻る」ことが大切です。

例えば「長期投資の基本」として、以下の3つの当たり前のことを、頭に深く刻み込んでおくだけでも資産運用の失敗確率を減らし、長期的な成功に導くことにつながります。

①金融市場の収益(リターン)と変動(リスク)はセットになっているいう認識。

②長い目で見れば金融市場は成長する。そこにリターンはあるという信念。

③リターンに付随する変動は「高い確率で報われるリスク」であるという理解。

実は誰もが自分だけは「リターンだけ欲しい。リスクはいらない。」と、心のどこかで思っていたりします。私自身もそうですが、人間は思った以上に身勝手なのですねー。しかしそんな幸運が起こることを願うのはやはり贅沢すぎるのです。(本当にそれが幸運かは疑問だか…)

「変動があるから成長がある。」「変動がないところに成長はない。」

この事こそが、資産運用に限らず人生全般の基本(原理原則)ではないでしょうか?

例えば子育てにおいて、あまり子供を過保護にし過ぎると、ひ弱な子供に育ってしまうのと同様、資産をあまり過保護にして、変動から守ろうとしすぎると、長期的にはインフレに負けてしまう「ひ弱な資産」になります。

多少変動に晒して、苦しい場面を経験したりすることで、資産は本当の意味で「逞しい資産」となって価値を生み出していくのだと思います。

「 逞しい資産」こそが、皆さんの長い人生を豊かな方向に導くのだと思います(ひ弱な資産では駄目なのです)。

資産運用の仕事を30年ちかくやってきて、そのように感じる今日この頃です。

 

マーケット・レビュー(2017年7月)

2017年8月4日

2017年7月(前月)の金融経済レビューをいたします。

直近1カ月分の「社会・経済のニュース」と「金融市場の動き」を、まとめて関連付けて観ることは、「金融リテラシーの向上に役立つ」と同時に「長期投資に付随する変動(ボラティリティ)の要因を理解すること」につながります。
変動の要因を理解することこそが、マーケット下落時もしっかり投資に向き合うことができる秘訣だと、私は思います。

今月のポイントは、「米ドル安の世界金融経済に対する影響」、「2つの中国(古い中国と新しい中国)」、「米パリ協定脱退後の世界各国の行動」、「世界株式市場の堅調さと一方で台頭する頭打ち感」といったところでしょうか。

それでは下記情報をご確認頂き、「自分としてどう捉えて、そう考えるか? 」

是非お試しください!

■2017年7月、IFA中浜祐士が注目したニュース(社会・経済)

2日、東京都議会選で「都民ファーストの会」が第一党になる。自民党惨敗。
3日、6月の日銀短観で「景況感3期連続改善」。輸出・消費が回復。
3日、米国の6月製造業景況感指数は57.8(2年10ヵ月ぶりの高水準)。
4日、米国自動車販売が2017年1-6月期に前年同期比で2.1%減少(8年ぶり)。
5日、インドのデジタル経済規模は今後3.4年で1兆ドルに倍増(IT大臣発言)。
5日、イタリア政府は、不良債権の最大案件だった大手銀行の国有化を決定。
6日、日本とEUは経済連携協定(EPA)の締結で合意。2019年発効へ。
6日、日本の10年国債が0.1%に上昇(欧米の長期金利上昇の影響を受け)。
7日、米国6月雇用者数は前月比22万2000人増(予測17万人)。米雇用堅調。
7日、日本の公的年金(GPIF)の2016年度運用成績が公表される。「+5.86%」。
8日、仏が2040年までにガソリン車・ディーゼル車の国内販売を禁止と発表。
10日、日本の生命保険各社は、死亡率低下に伴い来春から死亡保険料を下げる。
10日、金利差拡大を受け、円ドルレートが円安に(2ヵ月ぶりに114円台)。
10日、イラク首相が「イスラム国」に勝利宣言。モスル奪還。
11日、中国新車販売が急減速。2017年上半期は3.8%増(2016年+13.7%)。
13日、中国スマホ販売が急減速。2017年上半期3.9%減(3年ぶりに減少)。
13日、FRBイエレン議長が年内にFRB保有資産も縮小を開始すると表明。
13日、ビットコイン(仮想通貨)市場が大荒れ、取引所の分裂騒動や価格急落。
19日、中国4-6月期GDPは+6.9%と予想を上回る(ネット通販が+33%)。
19日、業種別指数「化学株」が過去最高値。旭化成、クラレが上場来高値更新。
20日、日銀物価2%目標を先送り(17年+1.1%、18年+1.5%、19年+1.8%)。
20日、米主要500社の4-6月期は8.5%増益(予想EPS140ドルと過去最高へ)
24日、IMF世界経済見通し2017年+3.5%(米国下方修正、欧州上方修正)。
24日、エジプトでインフレ率が30%に達し、経済が苦境に陥る。
25日、英国も仏同様2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売禁止。
26日、電子部品6社受注が4-6月期15%増と拡大。スマホ高性能化、ゲーム機等。
27日、米ドル指数が1年ぶりの安値。物価上昇の鈍さとトランプ政権への不信。
28日、オバマケア見直しが否決。大型減税、インフラ投資の政権公約も暗礁へ。

■2017年7月の金融市場の動き

【7月末の長期金利】
前半各国で金利上昇も後半低下し、結果変わらず。

日本10年国債  0.08% 前月比変わらず  年初来 +0.035%
米国10年国債  2.30% 前月比変わらず  年初来 -0.14%
ドイツ10年国債 0.54% 前月比+0.11%   年初来 +0.35%
英国10年国債  1.23% 前月比-0.02%   年初来 -0.01%

【7月末の先進国株式】
先月下落のナスダック指数が「IT大手の好決算」で反発。

日本(TOPIX)  1618.61   前月比+0.4% 年初来+6.6%
米国(S&P500)  2470.30   前月比+1.9% 年初来+10.3%
(ナスダック) 6348.12.  前月比+3.4% 年初来+17.9%
ドイツ(DAX)  12118.25   前月比-1.7% 年初来+5.5%
英国(FTSE100) 7372.00   前月比+0.8% 年初来+3.2%

【7月末の新興国株式】
新興国経済と市場にリスクオンの傾向(米ドル安の裏返し)。

中国(上海総合)  3273.03  前月比+2.5% 年初来+5.5%
インド(SENSEX)  32514.94 前月比+5.2% 年初来+22.1%
ブラジル(ボベスパ)65920.36 前月比+4.8% 年初来+9.5%
ロシア(RTS)    1007.14  前月比+0.6% 年初来-12.6%

【7月末の商品市況】
原油価格が大幅反発。金も年初来で1割上昇(米ドルとの相関)。

WTI原油先物(1バレル)50.17ドル 前月比+9.0% 年初来-6.6%
NY金先物(1オンス) 1266.6ドル 前月比+2.1% 年初来+10.1%

【7月末の為替市場】
(+は円安 -は円高)米ドル安、ユーロ高が進展。

米ドル/円  110.24円  前月比-2.0% 年初来-5.7%
ユーロ/円  130.57円  前月比+1.7% 年初来+6.1%
英ポンド/円 145.78円  前月比-0.5% 年初来+1.2%
豪ドル/円  88.23円   前月比+2.1% 年初来+4.6%

以上。

絶対と絶対の間

2017年7月25日

もし「絶対確実に儲かるものがある」という情報があるとするなら、それは詐欺だと思うのですが、なぜか「絶対確実な儲け話」に飛びつく人が後を絶ちません。

金融知識がない高齢者が絶対儲かる新規公開株で騙されたりしますが、実は有名な企業経営者や富裕層も結構騙されます。その最たるものが、2008年12月に発覚した元ナスダック会長バーナード・マドフによる史上最大の投資詐欺事件です。

彼は「10%以上の確実な配当」を謳い文句に総額650億ドルの資金を集めましたが、実際には運用をしないでネズミ講方式でファンド出資者に配当を支払い続けていました。しかしリーマンショックを機にその自転車操業も限界に達し、詐欺行為が判明したのです。

映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏などの多くのセレブ達、また金融のプロと言われる銀行や保険会社もこの詐欺被害にあっています。

このように「投資詐欺事件に騙された人がいる」などの情報を耳にすると、一般的には儲からなくても損をしなければいいという心理が働くのも無理はありません。別に儲からなくても「絶対に損をしない銀行預金とかタンス預金」でいいと考え、資産運用管理に対し無関心になる人も出てくるでしょう。(実際には銀行が破たんしたらペイオフ制度で1000万円までしか確実な保障はないのですが…)

しかしこの考え方にも大きな誤りがあります。なぜなら預金は表面上は絶対に損をしないかもしれませんが、物価上昇を加味した実質価値でみた場合、長期的には損をする可能性が極めて高いからです。

数字で見ると過去40年間(1975年~2015年)の日本の消費者物価は平均で年率1.7%上昇しています。単純計算だと40年前に100円で買えたものは現在193円。

一方で同期間の普通預金の金利は0.8%。40年間で100円が137円という計算です。

その差は0.9%。193円-137円=56円。100円の普通預金は40年という時間をかけ、ゆっくりと確実に累積で56円の損を出したとも言えます。

このような話をすると、過去40年で見ると、前半20年はインフレ率が高く、1995年以降はデフレになっているので、今では話が違うのではと思う方もいらっしゃることでしょう(実に鋭い指摘です)。

しかし物価と普通預金の差を検証すると、国や時代に関わらず、概ね普通預金の金利は物価上昇率に勝っていません。

直近では先週7/20、日銀が金融政策決定会合で2%のインフレ目標を先送りし、物価上率を2017年度+1.1%、2018年度+1.5%、2019年度+1.8%と発表しました。2018年度、2019年度は分かりませんが、2017年度はほぼ確実な数字かと思います。

要するに足元で物価は年で1.1%上昇しているということ。一方普通預金金利は0.001%。まあゼロに近いので、普通預金の実質価値は1年で1.1%減少するということです。

これは過去40年の平均にほぼ近い数字です。今後も普通預金金利は物価上昇率に対して1%低いと仮定するなら、100万円の普通預金の10年後の実質価値は90万4382円、20年後は81万7907円、30年後は73万9700円ということになります。

こう考えると、やはり生活予備資金や5年以内に確実に使うお金は普通預金で確保し、将来の資産形成等は正しい合理的なかたちで投資を行うべきだと思います。
「絶対儲かる投資話」と「絶対損をしない預金」の間にある適切な場所で。

ちなみに絶対儲かると絶対損をしないの間にある、世界株式市場(MSCIワールド指数)は、過去40年の同期間、上がったり下がったりしながらも平均で8.6%上昇しています。それは100円が40年間で2,720円になったということ。

100%ではないが過去の経験則に基づき、そして「今後も変わらないであろう原理原則」に基づき、多少不安はあるかもしれないが、将来に向けて投資を行う。その姿勢こそが健全であり、また豊かな未来を創るために必要なマインドセットなのだと思います。

「変わらざる中心を持たない限り、激しい変化に対応することはできない。」
(7つの習慣の著者、スティーブン・R・コビィー)

情報とのつきあい方

2017年7月18日

資産運用業は「金融産業」であると同時に「情報産業」とも言えます。

投資家は様々な情報を元に投資の意思決定を行いますが、
企業や年金等の機関投資家は四半期、半期、年度などの決算期があるが故に
結構、短期思考の投資行動にでてしまうことが多いように感じます。

例えば、株式市場に短期的な悪い情報が出て、株価が底値の時(本来は買い時)、周りの投資家が売却しているという情報を目の当たりにして、自分たちも急いで売却してしまうというミスを意外に犯しています。(だからいっその事、資産運用を感情がないロボットに任せた方がいいのではという考えもでてきたりしている。)

一方で長期投資家は、長期情報の予測(それを個人的に合理的信念と呼びたい)をベースに、市場の過剰反応で短期的に割安になった証券をここぞとばかりに購入します。
そんな数少ない本物の運用会社を資産運用のパートナーにすることは、皆さんの人生をより豊かにすることにつながると私は信じます。

ところで先週「FRB、ECB等の量的緩和縮小」や「中国経済の減速(車やスマホの販売減速)」等が盛んに報道され、今後のマーケットに警鐘を鳴らしています。※危機感を煽っているという言い方もできるかもしれません。

「量的緩和の縮小ができるところまで経済が回復してきた」とか、「中国経済が量から質へ転換する中で、無駄な投資の代わりに、高度な消費活動が今後も成長を牽引するだろう」といったポジティブな側面からの声はほとんど見受けられません。

私が思うに、成功している長期投資家は「長期の視点で世の中のポジティブな側面に焦点をあてる方法で情報処理」を行っている気がします。それは決して物事を都合よく解釈するとか、現実から目を背けるということではありません。「証券市場のリターン(収益)の源泉」もしくは「優れた投資機会といったもの」は、世の中のポジティブな側面の中に存在することを、彼らは経験的にも直感的にも理解しているのでしょう。

一方、一般的な投資家がなぜ情報に踊らされ、右往左往しているかと言うと、それは短期の視点で、必要以上に世の中のネガティブな側面に焦点をあてる方法で情報処理をしているからです。

何はともあれ、世の中(社会・経済・金融等)と自分自身(収入・支出・資産・負債等)をつなぐ「情報」というものを、正しいフレームワークと考え方で処理することが、個人の資産運用を成功させるうえで大変重要なことだと私は思います。

「長期投資家にとって、本当に大切な情報とは何か?」この点については、今後も会社として、また個人としても、しっかり広く情報発信していきたいと考えております。

ビッグデータとかAIとか騒がれるこの時代、
資産運用に限らず「生きていくうえで情報といかにつきあうべきか?」

誰もが、改めて考えてみる必要があるのではないでしょうか。

GPIFの運用を見て思うこと

2017年7月11日

先週7月7日、私たちの公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立法人)の2016年度運用成績が公表されました。結果は+5.94%(市場運用部分)。GPIFは運用資産を約145兆円も有する世界最大の機関投資家ですから、運用益も約8兆円と巨額となりました。

ところで、GPIFは2001年度から本格的に金融市場で資産運用を開始したのですが、以前は主に年金福祉事業団が財政投融資債を購入するかたちで運用を行っていました。しかしそれでは日本国民の大事な老後資金がどのように運用管理されているのかが極めて不透明であることから、独立した運用管理機関(GPIF)をつくり透明性の高い運用をしようということになったのです。

現在は基本的に国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%というバランス(資産配分)で運用することになっています。

ところでGPIFが2001年度に市場運用を始めてから、常につきまとうのが「国民の大事な老後資金を株式や為替の変動に晒して、損を出したらどうするのだ!」という、マスコミを中心とした批判の声です。

ちなみに2015年度のGPIF運用成績は-4%で約5兆円資産が減少しています。
この時もアベノミクスの失敗とか、年金がギャンブルをしているなどという論調で、一部のマスコミが騒ぎ立てていました。こうして一般的な日本人に「投資は危ない」という刷り込みがされていった気もします。

ここでGPIFの過去10年の市場運用の成績をご覧ください。

【過去10年の運用成績】
2007年度 -6.4%
2008年度 -10.0%
2009年度 +9.6%
2010年度 -0.5%
2011年度 +2.5%
2012年度 +11.3%
2013年度 +9.3%
2014年度 +12.9%
2015年度 -4.0%
2016年度 +5.9%
(10年間の平均リターン+2.76%、資産増加+31%)

運用成績を単年度でみると、10年間でマイナスの年が4回。プラスの年が6回。
(特に当初、100年に一度と言われるリーマンショックが起きていることに注目)
冷静に見て、かなり運の悪い10年と言ってもいいでしょう。

とは言え、もしもGPIFが短期の変動を回避して、元本割れのない預貯金で運用をしていたとしたなら(実際には巨額過ぎて預金も難しいのですが…)、この10年間で資産は全く増えず、年金財政はさらに悪化したことでしょう。

GPIFは市場運用を開始した2001年度~2002年度にもITバブル崩壊にあって大きなマイナスを出しましたが、2001年度~現在にいたる資産運用の累積収益は約50兆円にも上ります。国民の大事な老後資金を長期の視点でしっかり増加させているのです。

それでも海外の優れた機関投資家の運用成績には全く及ばないのが実情ですから、今後ますます運用改革をして、少しでも私たちの老後資金を増やしてほしいものです。

しかし残念ながら…、GPIFがいくら頑張っても、それによって私たちの退職後の生活が良くなることはないでしょう。

日本の年金制度は賦課方式で、基本的に現役世代の年金保険料(掛け金)から年金受給者の年金が支払われる仕組みです。

過去、現役世代の掛け金が給付より多かった分、毎年それが蓄積され、それが今のGPIFの運用資産になっています。資産規模は約145兆円と確かに世界最大級ではあるのですが、今後は確実に取り崩しのステージに入ってきます。

平成27年時点、現役世代で年金を払っている人の数は約6712万人、年金をもらっている人は約4025万人。概ね6人で4人を支えている構図です。そして現在、日本全体で年間の年金給付がいくらかというと約50兆円です。この数字は今後も増加していくことを考えると、GPIFの145兆円も少なく感じます。

このように現役世代と年金受給者の比率、年金給付の絶対額を見ると、我が国の公的年金がいかに厳しい状況か、よく解ります。

今後はGPIF(年金)に退職後の生活を頼るのではなく、GPIFの運用を参考に、自分自身の資産運用をどうするかを考えるべきなのだと思います。

「投資が危ないのではなく、投資をしないことの方が危ない。」
GPIFの運用を見ながら、そんな時代のメッセージを感じます。

マーケット・レビュー(2017年6月)

2017年7月4日

早いもので2017年も半分が過ぎました。今年の中間地点において「世の中で何が起き、金融市場がどう動いたか?」ご確認頂くと同時に「ご自身の資産運用、仕事、生活等にどのような影響があるか?」是非考えてみてください!

■2017年6月の注目ニュース(社会・経済)

1日、トランプ米大統領が地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」離脱を表明。
2日、異次元緩和で日銀総資産(5月末時点)が500兆円を超える(GDP比93%)。
2日、IT株上昇で世界株式の時価総額が76兆㌦になり、2年ぶりに過去最高更新。
2日、日経平均が1年半ぶりに2万円回復。
2日、米国の5月雇用統計は、前月比13.8万人増(予想18万人)。
4日、トヨタと米電気自動車テスラが提携を解消。今後は強力なライバル関係に。
5日、サウジアラビア等アラブ諸国がカタールと国交断行。
6日、世界半導体販売額は前年比+11.5%。IOTでメモリー、センサー需要拡大。
9日、英国総選挙で与党が敗北。メイ首相が続投表明も影響力の低下が免れない。
9日、ナスダック急落。最近急ピッチで上げてきた反動と短期筋の手じまい売り。
10日、米国の経済成長戦略がロシアゲートの影響で停滞する見通しが相次ぐ。
13日、米ドル実効レートが8ヵ月ぶりの低水準(トランプ大統領以前の水準)。
13日、米ヤフーが消滅(通信大手ベライゾンの買収完了)。日本ヤフーは継続。
14日、米FRBが今年2回目となる0.25%の利上げを実施(1%~1.25%誘導目標)。
14日、米利上げ後に世界株高。長期金利が低位安定し、株式市場に安心感。
14日、FRBイエレン議長は、年3回の利上げを維持する政策シナリオを公表。
16日、日銀は金融緩和の維持を決定(9ヶ月連続)。金融緩和の出口は見えず。
16日、アマゾンが米高級食品ホールフーズ・マーケットを買収。
18日、フランス下院選挙で、マクロン新党が大勝、EUの結束に光明。
20日、ソニーの株価が9年ぶりの高値をつける。ゲーム事業の収益性を評価。
21日、NY原油価格が9ヶ月ぶりの安値。OPECが減産しても、他の国が増産。
23日、英国EU離脱から1年。英国では通貨安、インフレ率上昇など経済に影。
24日、欧州中央銀行(ECB)はイタリアの中小銀行の破綻処理を決定。
26日、エアバックのタカタが民事再生法申請。負債総額1兆円超。
26日、昨年度の対日直接投資は3兆円を突破して過去最高に(シャープの買収等)。
27日、銀行の国債保有は202兆円と過去最低に(5年間で半分に)。
28日、欧州国債利回りが急上昇。金融緩和の縮小の見方強まる(ユーロ高)。
29日、欧州の金利上昇をきっかけに銀行の利ザヤ改善期待から金融株が上昇。
29日、中国の通信機器大手ファーウェイが日本に生産拠点を新設。
29日、ソニー29年ぶりにアナログレコードの自社生産を再開。

■2017年6月の金融市場の動き

【6月末の長期金利】 世界の長期金利は小幅上昇も低位安定。
日本10年国債  0.08% 前月比+0.035% 年初来 +0.035%
米国10年国債  2.30% 前月比+0.1%  年初来 -0.14%
ドイツ10年国債 0.43% 前月比+0.13% 年初来 +0.237%
英国10年国債  1.25% 前月比+0.22%  年初来 +0.01%

【6月末の先進国株式】 概ね堅調も欧州株式と米ナスダックに調整売り。
日本(TOPIX)  1611.90  前月比+2.8% 年初来+6.1%
米国(S&P500)  2423.41  前月比+0.5% 年初来+8.2%
(ナスダック) 6140.42  前月比-0.9% 年初来+14.1%
ドイツ(DAX)  12352.12 前月比-2.3% 年初来+7.4%
英国(FTSE100) 7312.72 前月比-2.8% 年初来+2.4%

【6月末の新興国株式】 概ね横ばい、原油価格に連動するロシア株は軟調。
中国(上海総合)  3192.43  前月比+2.4% 年初来+2.9%
インド(SENSEX) 30921.61 前月比-0.7% 年初来+16.1%
ブラジル(ボベスパ)62899.87 前月比+0.3% 年初来+4.4%
ロシア(RTS)   1000.96  前月比-5.0% 年初来-13.1%

【6月末の商品市況】 原油価格を中心に商品市況は下落。
WTI原油先物(1バレル)46.04ドル 前月比-4.7% 年初来-14.3%
NY金先物(1オンス) 1240.7ドル 前月比-2.5% 年初来+7.9%

【6月末の為替市場】(+は円安 -は円高)年初からの円高圧力弱まる。
米ドル/円  112.48円  前月比+1.6% 年初来-3.8%
ユーロ/円  128.45円  前月比+2.6% 年初来+1.2%
英ポンド/円 146.49円  前月比+2.6% 年初来+1.7%
豪ドル/円  86.73円   前月比+5.7% 年初来-0.4%

■長期投資の視点 「日米欧の金融政策の現在地」

先月、米国FRBが今年2回目の0.25%の利上げを実施し(FFレート誘導目標を年1%~1.25%に)且つ、量的緩和の出口戦略を具体的に検討し始めました。また欧州ECBドラキ総裁もデフレからインフレを意識する発言をし、欧州でも量的緩和の出口が意識されました。一方で日銀は政策決定会合において9カ月連続の金融緩和維持を決定、黒田総裁はデフレに戻るリスクを避けるため、金融緩和の出口はまだ見えていないことを示唆しました。日米欧の中央銀行の金融政策の違いが、大変解りやすく示された2017年6月だったと言えます(為替市場は円安に反応)。

米国では昨年来の金利上昇に伴い、低所得者向けの自動車ローンの焦げ付きが増えるなど、実体経済への悪影響も見え始めていますが、経済全般は概ね良好と言えます。

さて日本においても、これから数年以内に金融緩和の出口を迎えるときが必ず来ます。日銀は過去数年の金融緩和に伴う国債やETFの購入で、今や資産が500兆円を越え、GDPに匹敵する規模に膨れ上がり、その財務内容はFRBやECBよりもリスキーな状態とも言えます。米国のように実体経済への悪影響を極力抑えながら、金融緩和の出口を出ることができるかどうかは相当心配な状況。最近、日本の不動産市況がピークアウトしてきている模様ですが、それは近い将来の金利上昇リスクを意識し始めた動きなのかもしれません。

このように金利の動きは、金融市場だけの問題ではなく、実体経済や個々人の生活に大きく関わってくる重要な問題です。株式より地味な金利や債券市場ですが、これからの動向をしっかりチェックしておく必要があります。