日銀のバランスシート

2017年6月2日

日本経済新聞によると黒田日銀の異次元緩和で日銀のバランスシート(総資産)は500兆円を超えたそうだ。日本のGDPに匹敵する天文学的な数字である。この数字をどう解釈するべきなのか、非常に難しい問題である。

一方、アメリカは、今月のFOMCでFF金利を1-1.25%に利上げし、FRBのバランスシートも徐々に縮小していく可能性が高くなってきた。アメリカは、時間をかけながらも金融政策を正常に戻しつつある。

日米中央銀行の金融政策、バランシートから考えれば中長期では円安傾向である。さて円安のほうが日本経済にはいいという人がいるが、それはあまりにも短絡的である。

円安=自国の通貨が弱くなるというのは、日本人の給料が国際的に安くなるということである。給料だけではなく、年金も退職金も安くなるということ。1700兆円の個人金融資産の円建て部分の価値が下がるということである。

最近、実感するが、日本人の給料は、海外先進国や新興国と比べても安すぎる。特に大企業の管理職の給料に関しては、タイやマレーシアよりも低い感じがする。私が新入社員であった1993年と今の新入社員の初任給は数万円ほどしか変わっていないのだ。20年以上ほとんど給料が上がっていないのである。円安は怖い。ただでさえ安い名目賃金に円安による輸入インフレが追い打ちをかけ実質賃金が下がり、国民生活を苦しめる可能性が高いのだ。政府も日銀もインフレにして長期金利を抑えたいという意図はみえみえなのだが、国民はそんなことには気づかないという構図。問題は、これまでのように長期金利をコントロールすることは困難になっているということである。
金融政策の限界である。

個人だけではなく海外企業のM&Aや投資においても、弱くなった円は、マイナスである。グローバル企業の現地生産が進み、スロートレードと呼ばれるように貿易量そのものが減っている今、昔のように円安が日本経済を豊かにするような単純な効果はないのだ。

もちろん行き過ぎた円高もダメであるが行き過ぎた円安もまずい。為替は、ある一定水準で安定することが望ましいのだ。

日銀のバランスシートを見て個人が気を付ける点として、将来の金利上昇に対応するということ。変動金利で長期で借金することは極めてリスクが大きい。金利はこれ以上下がらないし、上がるしかないのだから。特に住宅ローン等の長期借り入れは、多少金利が高くなっても長期固定で借りるべきである。

資産運用においては、キャピタル(為替や短期の値動き)を読むのではなく、インカム(利息や配当)を長期で積み上げていくことである。